麻酔科 | 部長: | 布川 浩子 |
麻酔科の紹介
当院麻酔科は常勤医1名のほか、山形大学麻酔科より週3日の応援があり、年間850例前後の全身麻酔を行なっています。安全に手術を終えることが最優先ですが、可能な限り患者様が安心して居心地良く手術を受けられることを目標に日々努力しています。
術前の詳細な全身状態の把握や説明書を用いた麻酔方法の説明、ひとりひとりに合わせた麻酔法の検討など、丁寧な麻酔を心がけ、各主治医とのコミュニケーションを密にとることで更なる安全をはかっています。また、手術当日にも飲み物をとれるようにしたり、手術室内で好みのBGMを聴いていただくなどの試みもスタッフの協力により定着しています。術後の痛みの緩和については、硬膜外麻酔を積極的に用いるほか、点滴から持続的に鎮痛薬を投与する方法など、ほぼ全ての全身麻酔時に手術中からの術後痛対策を行っています。
全身麻酔で手術をお受けになる方には、術前に必ず麻酔科医が診察に伺います。麻酔について気がかりなことがありましたら何でもお気軽にお尋ねください。
煙草を吸われる方とそのご家族の方へ
全身麻酔を受ける際に最も問題視される生活習慣である喫煙はもともと心臓や肺を痛めつけていますが、麻酔薬や人工呼吸によってさらに大きな負担がかかり合併症を起こす危険がふえます。手術前に一定期間禁煙をすることが麻酔時の安全につながります。
いつか手術を受けるかもしれないあなたに
いますぐに 禁煙しましょう!
より安全に、より安心して手術を受けるために
Q: どうして禁煙しなければならないの?
たばこを吸っている人の肺には慢性的な炎症がおきています。このため気管支が過敏になって咳や痰がふえ、痰を運び出す働きも弱くなり肺炎をおこしやすくなります。
また、全身麻酔では気管に呼吸を助けるための管を入れますが、たばこを吸う人ではこの管の刺激で咳や痰がどっと出たり、喘息のように気管支がけいれんして細くなることがあります。そうなると体への酸素の取り込みが悪くなり、脳や心臓など大切な臓器が酸素不足になる恐れがあります。手術後の肺炎と同様に、最悪の場合、命にかかわることもあります。
全身麻酔の手術において、たばこを吸う人が肺炎などの呼吸器の合併症をおこす確率は、吸わない人の2~4倍にもなるといわれています。肥満、糖尿病、慢性肺疾患、心臓病などがあるとさらに高くなります。
また、たばこにより免疫細胞の働きがおさえられ免疫機能が低下します。そのため、肺炎などの感染症の危険性が高くなったり、傷の治りが遅くなる可能性があります。
Q: どのくらいの期間、禁煙すればいいの?
手術前8週間の禁煙が理想的です。4週間禁煙すると呼吸器合併症は30%減るといわれています。時間的に無理な場合でも最低2週間の完全禁煙が必要です。不完全な禁煙(本数を減らしたり、吸ったり吸わなかったりすること)は効果がありません。
もし手術前の禁煙が不十分であった場合には手術を延期させていただくことがあります。
受動喫煙(周囲の人の吸っているたばこの煙を吸い込むこと)も喫煙と同じです。
ご家族の方の協力もお願いします。
Q: 禁煙が必要なのは全身麻酔の手術のときだけ?
全身麻酔の手術をされる方には必須ですが、他の手術の場合でも、感染しやすかったり、傷の治りが悪くなることがわかっています。
手術を受ける予定のない方でも、急な病気やけがで緊急に手術を受ける可能性があり
ます。また、糖尿病、肺気腫、脳梗塞、心疾患、胃十二指腸潰瘍、がんなどの治療効果
も低下するため、病気の診断を受けた時点で禁煙なさることをおすすめします。
公立学校共済組合東北中央病院 麻酔科